Mon, May 07

  • 00:01  実話特有の「異様な物語バランス」というのがあるのだと思う。職人的な完成度の高い物語は、その良好なバランス故に「信じさせる力」を減じてしまう所があって、実話の異様さを取り入れた作品は、(虚構として発表されていても)この辺り思わず嵌ってしまう深みと云うか、独特の魅力に溢れている。
  • 00:14  その異様さは、物語の構造と云うより、ディテール同士の遠い響き合いの中に現れる。丁度一人一人の人生が共通性を持ちつつ決して単純な繰り返しにならないように、いつでも「今・ここ」にしか生じ得ないという現実の一回性が持つ豊かさと切迫が、繰り返される物語の枠組みに瑞々しさを与えるのだ。

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