2006-01-01から1年間の記事一覧

「一足お先に、感謝を込めて」

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先日、出張先の宿でふとTVをつけたら、灰谷健次郎さんが話していた。いまから10年近く前に放送されていた、NHK人間大学の『子どもが教えてくれたこと』という番組だった。厳しさと穏やかさが渾然となった風貌、揺るぎない澄んだ眼差し。知らず画面に吸い…

心に響く物語 〜『ゼーガペイン』最終回によせて〜

書きあぐねているうちに、アコースティック・パーシャの『月夜浜』が一巡してしまった。素晴しいアルバムだと思う。八重山諸島の民謡が西洋楽器のうっとりするような音色と完全に溶け合って、どこか見知らぬ場所の、だが確かに記憶の奥底にある郷愁を呼び起…

"Search for Life: Are We Alone?"

池袋のサンシャインシティで、ニューヨークにあるヘイデンプラネタリウム制作の番組 "Search for Life: Are We Alone?" の日本語版を見る。ヘイデンでの上映をはじめて見たときには、ハリソン・フォードの渋いナレーションとあいまって強く印象に残り、自分…

プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展

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日本の美術館の展示室で多用されている蛍光灯による照明が、他でもない日本美術の展示にとって最悪であることを明確に指摘したのが、日本語を解さず、日本美術史に疎く、ただ「絵」としての力のみを注視して蒐集を進めた外国人コレクターだった、ということ…

「ファンタジーと言葉」

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最近邦訳されたル=グィンのエッセイ集を読んでいる。この人は相変わらず鋭い。ネットワークの普及によって新しく照らし出された「言葉」そのものの意味や「小説」という表現手段の立ち位置を、むしろ喜んで測っているようにみえる。齢を重ねてもしなやかで…

”モ”と”キ”が嫌いな人

不思議なご縁で、電波天文学者の森本雅樹さんの古稀を祝って2002年に作られた冊子を頂いた。(森本さんのページ⇒ http://www.ojisan.jp/)高校生のころ、野辺山観測所の一般公開で著書にサインを頂いたきりで、直接の面識は無いのだけれど、先日石垣島に行っ…

no day but today

映画『RENT』と『ナビィの恋』を見る。正直これまで、ミュージカルという表現手段の普遍性については疑念を拭い去る事が出来なかったし、そこから更に一回性を剥ぎ取って映画に仕立てた作品に対しては、なおさら食指が動かなかったのも事実だ。しかしその偏…

残る幻影

一昨日東京に帰って来た時には、全ての存在が曖昧と儚く、霞んだように見えて仕方がなかった。強すぎる陽射しが上と下から照りつけ、ものの陰翳と輪郭が余りにハッキリと見えてしまうあの島々から僅か4時間と少し。速度に魂が置き去りにされたように、中々…

情報と物質

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量子テレポーテーションに関する入門書や解説サイトを見ていて思うのは、人間にとっての情報と物質が、互いに等価になる地点がどうもあるらしい、ということだ。専門家の直観的理解すら拒む領域に対して素人が論評しても無意味なのは自分でも判っているし、…

回帰

人生は直線でなく、螺旋なんだなとあらためて実感する。周期は12年くらい。多分これが最初の回帰だ。かつて感じていた魅力、そのうちに色あせてしまっていた魅力が、新たな深みを湛えて自分の前に拓けつつある。回帰は悪いことではない。モノクロームだった…

自動演奏ピアノによるコルトー

http://home.att.ne.jp/omega/Duo-Art/sound/たまげた。モノラル録音でしか聴いたことのない彼の演奏が、これほど鮮明に甦るとは。機械による再現ではあっても、確かにコルトーの音がそこにある。戦前のカラー記録映像を見たときに近い、震えるような感動が…

“日本におけるドイツ建築”

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六本木の空中高くにあるアカデミーヒルズで、藤森照信さんのレクチャー。森美術館で開催中の東京−ベルリン/ベルリン−東京展の一環で、ドイツの近代建築と日本の近代建築の関わりについての話だった。 法務省の赤レンガ館など日本の官庁街を計画した明治政府…

ジョン・ハウ展オープニングレセプション

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夜はカナダ大使館に出かける。「指輪物語」の挿画や、その映画版三部作のコンセプトワークを手掛けた事で広く知られるようになったジョン・ハウの原画は、クレーとは打って変わってポスターカラー等の現代的な画材で描かれているにもかかわらず、イラスト的…

パウル・クレー展

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八重洲・大丸ミュージアムのパウル・クレー展へ。あまり著名な作品は出品されていなかったと思われるが、やはり線に卓越した画家だけあって、初めて目にする肉筆からは非常な緊張感が伝わってくる。ベンヤミンが自分の雑誌の名前に引用した「天使シリーズ」…

クリップ(一部お蔵だし)

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中間質量ブラックホール http://www.astroarts.co.jp/news/2006/01/28new_blackhole/ http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2004/040415/index.html 暴走的合体による形成理論 JICAシリア事務所 http://www.jica.go.jp/syria/activities/mailmag.…

速度と気魄

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日記再開を心に期す。一度考えを溜め込む事に身体が慣れてしまうと、今度は吐き出すのが辛くなる。少しずつ助走を繰り反し、ペースを掴んでゆくしかない。 先日お会いしたオオムラさんは、日本のCG映像業界ではパイオニアとして知られる人だけど、68歳とは到…

音いろいろ

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Down To The Bone / Sylvain Chauveau たしかにデビシル。Depeche Modeは暗鬱な気がして敬遠していたけど、曲は良いのだなあ。 やっと買いました。Non-CCCD版があって良かった。 素敵な透明感。このノスタルジアを一生抱えてゆく世代なんだろう。 Mine Is Ma…